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2024

0522
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2009

0509
久しぶりに「一力節」を読みました。
作品は違っても、作品に漂う気品や心意気は、あい通ずるもの。
心地よい読後感に、うっとりします。

物語は、深川の老舗・桔梗屋の主人である太兵衛と、賭場の貸元・霊巌寺の猪之吉が、書の稽古場で出会うところから始まります。

え?賭場の貸元が、書道教室!?

と思わず、まじまじと「筆道稽古場」の文字を、「間違いないよね?」と見直してしまいました(わは)。

今の立場も生きてきた道もまったく違う二人ですが、お互い、人間の器量に惚れあい、深く付き合っていくことになります。

しかし、桔梗屋の乗っ取りという企みが進行。それを黒幕から頼まれ、策を仕掛けてきたのは、騙り屋の治作たち。

跡取りのいない太兵衛は、自分の死後のことを思いつつ、重い病であの世へ旅立ちます…すべてを猪之吉を託して。

猪之吉一派と治作一派の闘い。
その結末は…。


というお話です。


********以下、物語の細部に触れています!********


猪之吉と太兵衛という、酸いも甘いも噛み分けた、壮年のオトコふたりのつながりには、惚れ惚れとさせられます。
人間に惚れたのねぇ…と素直に感動してしまいます。
ぶっきらぼうな猪之吉の熱い面というのは、実にわかりやすいのですが(それが彼の魅力です)、
とりわけ大店の主人として、常に穏やかでどっしりとした太兵衛が見せる、猪之吉への静かでゆるぎない信頼は、ぐっと胸に迫ります。

文庫本の裏表紙に書かれた、物語の抜粋を読んだとき、私は、太兵衛がすぐに亡くなるのかな~と思ってました(一文目にいきなり、「太兵衛は(略)息を引き取った」ってあるんだもの)。
でも、実際は、物語の中盤で、太兵衛は亡くなります。
そこまでに描かれる二人の関係が、なにより物語に深みを生んでいるのだなぁと、思います。

単に、騙り屋との知力を尽くしたやり取りが面白いだけではないのです。

また、私自身は、ラストの騙り屋との一戦よりも、太兵衛の葬儀を立派に行おうと、一切を取り仕切る猪之吉の場面が、クライマックスのようにドキドキしました。
ほんとに粋な采配で、くらくらします。

そして、桔梗屋の頭取番頭である誠之助。
60歳近いというのに、治作たちにかどわかされて、拷問にかけられても、一切のことを話さなかった心意気。
堅気で、こういった無頼ごとには無縁な彼にさえ、貫かれている男気に、心打たれますね。
大好きな登場人物でした。

あと、猪之吉の女房♪
名前すら出てきてないし、出番も2か所ほどなんですけど、なんだかとっても気になるのです。
凛とした「いい女」の匂いがたっぷりで!
あの猪之吉が女房に、と思った女性は、どんな人なんだろう…と好奇心が沸いてしまいます。

魅力的な登場人物がいっぱいで、目移りします。

それにしても、桔梗屋のその後がどうなったのか…読了しても、『欅しぐれ』の「その後」が気になって仕方ありません。
跡取りとして、誰を迎えたのかなぁ…。
その跡取りと猪之吉の関係はどうなったのかなぁ…。
誠之助は、まだまだ元気に頭取番頭続けるんだろうなぁ…。
きっと、乗っ取りの黒幕・鎌倉屋は、また何か懲りずに仕掛けてきそうだなぁ…。
とか、いろいろね!

そうそう。
「貸元・霊巌寺の猪之吉」といえば、同じ山本一力作品『大川わたり』で、「猪之介」が出てきてますね。
こちらも猪之吉と同じく、「達磨」の異名を持っています。
『大川わたり』が天明年間で、『欅しぐれ』が天保年間だから、
もしかしたら、猪之介の次の代の貸元が猪之吉だったりするのかなぁ…。

そういうつながりを考えるのも、山本作品を読む楽しみです☆

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2009

0430

明治中盤の日本&ロンドン(事件が起こるのはロンドン♪)が舞台のミステリー。
高橋さんのミステリ作品で、未読だった本を手にとりました~(本棚で眠ってたのを引っ張り出してきました…★)

日本での政府首脳陣(井上馨、伊藤博文、山県有朋たち)を中心とする物語と
日本人村が話題を呼んでいるロンドンでの物語とが
ほぼ交互の章で語られ、それが密接にからんできます。

歴史的な背景を知っていると、何倍も楽しいし、
知らなくても(興味がなくても)純粋なミステリーとして楽しめる作品だと感じました♪


*****以下、物語に触れています*****

とりあえず!
何をおいても、ロンドンにおける登場人物たちがとっても魅力的です。
「うお!」と驚く著名人たちが、そ知らぬ顔で登場してます。
すぐ正体がわかる人物もいれば、あとになって、「そっか!あの人か!」とハタと気づく人物も☆
私が、最後まで正体に気づかなかったのは、「シッケ巡査部長」でした!
あとは大体わかったかな…♪

ロンドンで、日本軍人が殺される事件がおき、
そのポケットから発見された、謎の暗号文。
誰が書き、どう解読するものなのか。

日本政府が日本人村に送り込んだ「スパイ」はいったい誰なのか。

国際社会において日本が生き抜いていくために、井上馨のたくらんだ大きな策略とは、いったい何なのか。

幾重にも張り巡らされた、魅力的な「謎」が、連鎖するように解かれていく、物語の終盤は、
どきどきが止まらなくて、ページをめくるのももどかしくなります。

最近、また会津戦争の本を別に読んだこともあって、
事件の核になる部分では、切なくなってしまいました。
会津は実際に訪れたこともある場所ですし。
白虎隊の終焉の地も、ね。

明治の重鎮たちの密談も、ハラハラしながら見てました。
その密談の会場も、鹿鳴館とか精養軒とか銀座とか、明治の匂いいっぱいのゴージャスな場所。
歴史好きにはたまりません。
井上・伊藤・山県の性格の差も、面白くて。


そして、歴史の見方って面白いなぁ、としみじみ感じさせられます。
もちろん、これはフィクションの物語であって、日本史の論文ではないけれど、
「ひとつの事柄も、視点を変えれば、こんなふうにも見えるんだ」
ということを、とても自然に楽しく感じさせてくれるのです。
ものの見方にとらわれないように。
複数の視点をいつもできるだけ意識するように。
思わず、自分自身にそう確認してしまいます。

2009

0215
「このミステリーがすごい!」で第四回大賞の『チーム・バチスタの栄光』。
その第二弾、『ナイチンゲールの沈黙』です。

この海堂さんという作者さんのタイトルは、なんだか一度見て、心にひっかかって、気になる存在になります。
『チーム・バチスタの栄光』を本屋さんで初めてみたときも、
私は、なんでか勝手に、バチスタっていう名前のサッカーチームの栄光と挫折の青春ストーリー…だと思ってました。

なんで、そんな変な思い込みになったんだろ…。
自分でも不思議です。

その後、『チーム・バチスタの栄光』をちゃんと読んで、「おもしろい~」とスイスイ読んでしまったのですが。

というわけで、第二弾。
バチスタスキャンダルから9ケ月。
舞台は、同じく東城大学医学部付属病院、の小児科病棟。
ふたりの歌姫を軸に、ストーリーが進んでいきます。
タイトルのナイチンゲールは、それゆえ。

『チーム・バチスタの栄光』での主役コンビ、田口先生&白鳥調査官も健在です。
プラス、今回は刑事コンビ、加納&玉村も登場。
いつもながら、多彩なキャラクターがこれでもかこれでもか、というくらいの頻度で登場します。
「個性的」という言葉が裸足で逃げ出すくらい、みんな、個性的。

でも…なんですかね。
『チーム・バチスタの栄光』で、はじめにどーんっと魅力的な謎が提示されて、
めまぐるしく謎解きが進んでいく、というスピーディな展開を思い返すと、
今回は、まったりのったり話が進んでいく、という感じが強いです。

殺人は1件のみ。
で、物語の中盤で、やっとこさ、その事件が出てきます。

殺人の件数がどうこうというのではないですし、殺人そのものが物語りの初めになくたって、別にいいんです。
でも、やっぱり物語の引っ張って行く、なにかしらの力はいると思うんですが、
それが弱いような気がしてならなくて…。

正直、読み終わった今でも、ちょっと物足りないかしら…。

各所での表現がちょっと大仰すぎる気もして、文体は…うーん、あまり好みでないかもしれないかなぁ、やっぱり。
(この「好みでないかなぁ」という感覚は、『バチスタ』の時もあったのですが、
それを吹っ飛ばすくらいのパワーが物語にあったような…)
もちろん、これは、あくまで、個人の好みの問題ですけども。

それにしても、本屋で、どんっと平台に積み上げられている、海堂氏の諸作。
とっても人気があるんですねぇ…。

2009

0214
作者・杉本章子さんの歴史エッセイ的な文章は読んだことがあったのですが、小説はこれが初めて。
古本屋さんで、ひょいと手にとりました。
1982年に書かれた長編です。

***以下、写楽の正体を含め、作品の内容に触れています。


タイトルを見ると、「おっ、東洲斎写楽が主役か!」と思いましたが、主人公は写楽の作品を出版した、版元の蔦屋重三郎。
それも、青春時代の青臭い重三郎から、壮年期の酸いも甘いもかみ分けた重三郎まで。
人間「蔦屋重三郎」の成長ももちろんですが、
版元「蔦屋」の出発点から、成功していく過程を楽しめるのも、大変興味深いです。

寛政期の文学者たちが大勢登場します。
高橋克彦氏の『京伝怪異帖」にも登場した、平賀源内、山東京伝をはじめ、恋川春町、朋誠堂喜三二、大田南畝など、惜しげもなく、重要な役どころでの出演です。
一流の文化人ですが、それぞれやたらと人間くさいところが魅力です。
長い期間を作中で扱うので、各個人の人生の紆余曲折も、心を打たれます。

蔦屋によって育てられたといってよい、歌麿も、その人間の弱さとともに、
あますところなく描かれます。
朴訥とした歌麿が、最後は重三郎を裏切るところまで行き着くのが、
なんともいえず、切なく苦いです。

そして、蔦重を扱えば、気になるのが、写楽の正体ですが。
冒頭にちょいと出てきて、重三郎の一生に大きな影を追わせた、実父の失踪。

「きっとこれが何か関係するんだなぁ」

と思ってはいましたが、このお父さんその人が写楽でした…わわ、びっくり!!
その父と二人三脚で、江戸の社会を席巻した、写楽の役者絵。
でも、その幸福も短く、写楽の死で、幕を閉じるのでした。
(写楽の作画期間が短いのは、写楽本人の死のため、というもの)

重三郎は、出版の世界では、華々しく活躍をしましたが、
おしの(彼が唯一、心底愛した女性。添い遂げられぬままに自害して果てました)のことにしろ、
父のことにしろ、
彼の愛した人々との幸いは、ほんとにほんとに短かったことが、
読後の哀惜を深めます。

2009

0208
高校生の時に、『竜の棺』と『写楽殺人事件』を読んで以来、大好きな作家さんが、高橋克彦氏。
まだ読んでなかった『京伝怪異帖』を読みました。

文庫で上下巻。
タイトルからも明白ですが、主人公は、伝蔵こと山東京伝。
江戸の化政文化を代表する戯作者です。

高校の日本史の授業ではじめて彼に出会ったころ。
私の頭の中で、彼の名前は、「山+東京+伝」と即座に分解されました。
「山東京伝」という字を見せられたら、すぐ真ん中の「東京」が浮かび上がってきません?
私だけかなぁ…?
いまだに、その分解が頭から離れません。わはは。
そして、授業で習ったことのせいか、寛政の改革の流れの中で、蔦屋重三郎とともに処罰され、手鎖50日を受けたという印象が強ーーい御仁です。彼の書いた作品よりも。

もとい。
『京伝怪異帖』は、その京伝と仲間たち、京伝の師匠筋として登場する平賀源内らが遭遇する怪異譚をまとめた、短編連作集です。
田沼意次政権の晩年から老中・松平定信の全盛期にかけて。
政治の主導者との複雑な力関係も、作品のあちこちで、ぴりっとした味付けに使われていて、趣き深いです。
「怪異」がたくさん出てきますが、グロテスクな印象はあまり受けませんでした。
それは、カラリとした京伝の人物造形に負うところが大きいのかな。
読後感のさっぱりした作品集です。

なにより、言わずと知れた本草学者のキテレツ平賀源内をはじめ、浮世絵師の窪俊満、版元・蔦屋重三郎、若き日の鶴屋南北、といった江戸後期のそうそうたる文化人たちの共演。
これにうっとりしないはずがありません。
会話の中だけだけど、北斎や歌麿もちらほら登場。
嬉しくて、思わずニタリとしてしまいます。

中でも、面白かったのが、寛政の風紀の取り締まりが強まる中、源内が、町方に睨まれない工夫というので、蔦屋に入れ知恵したこと。
その入れ知恵とは、役者の大首絵を手がけること。それも、看板役者から下っ端役者まで、すべて。
人気が第一の役者たち。
自分たちで大量買いに走るのは目に見えているという趣向です。
なぁるほど!
で、これを蔦屋は歌麿に持ちかけたけど、断られたと…『京伝怪異帖」の中では、ここまでのことが、蔦屋の口で京伝に語られます。
これ以上のことは作品の中に出てこないんですけどね。
のち、この蔦屋から出されることになる役者の大首絵は、東洲斎写楽の作品。
これ、言うまでもなく、「写楽=歌麿」説をいってるんですよね。うぷぷ。
その入れ知恵が源内ってのも、また面白い。
私、このシーンだけで、おお喜びしてしまいました☆
高橋氏の浮世絵シリーズ作品のファンは、ここだけで、ついニンマリしてしまいますね。

2009

0102
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

年末、バタバタしているなか、ごあいさつもすることもなく、2008年が終わってしまいました。
そして、こんにちは、丑年。こんにちは、2009年。

今年もいろいろ激動の年になるのかなぁ…。

大晦日に実家に帰省し、新年を迎えました。
実家に帰ると、とりあえず本棚に向かい、たくさん置いていっている本たちを愛でるのがお約束です。
もう何度も読んだ、手垢にまみれた本たちですが、何度読み返しても面白い本は面白いのです♪

それで、今回、久しぶりにひょいと手にとったのが田中芳樹さんの『銀河英雄伝説』。
銀英伝を見ると、決まって思い出すのが、はじめてこの本を読んだときのこと。

友達から「面白いよ」とつよーく勧められ、中学生の私は第1巻を手にとったのでした。
でも、当時、まだ文庫本では出てなかったので、当然、本はノベルス。
バイトもしていない中学生には、高い高い本でした。
図書館で借りるという手もありましたが、なかなか1巻が返却されるタイミングで借りにいけない…。
我慢できなくなって、意を決して本屋に買いに行ったのです。
とりあえず第1巻だけを。
そして、買ったその日のうちに、読破してしまい、あまりの面白さに続きが気になって、翌日、また学校帰りに本屋さんへ。
ノベルスの一気買いなんて芸当は、中学生にはできませんからね。
次は、第2巻を1冊だけ買ったんです。
…マヌケですよねぇ…。
案の定、次の日には3巻を買いに本屋に走ってましたとも…!

そのあと、さすがに8・9・10巻くらいはまとめて買ったような記憶がありますが、数日間本屋に通って、毎日1冊ずつ銀英伝を買って帰るという日々を過ごしてました。
(この間、間違いなく私、家庭学習は一切してなかったに違いないね…!!)

それくらい、圧倒的な物語の展開で、中学生の女の子は見事に虜になりました。
当時から歴史大好きだった私が、歴史家を嘱望する軍人ヤン・ウェンリーの大ファンだったことは、言うまでもありません♪(ヤンの被保護者のユリアン少年が、本気でうらやましかったなぁ…)

そのファーストコンタクト以来、何度も読んだ銀英伝ですが、また久しぶりに手にとって、また1巻からズンドコすんごいスピードで読み進めてしまいました。
途中でやめられない…。
ああ、何度でも、虜になる…!

2008

1016

出先からの帰り道。
帰りの電車で読む本がなくなってしまったので、近くに見つけた本屋にふらっと寄りました。

そしたら、平台に積んである本に、「米原万里」の名前が!!
いつのまに出てたんだろ!

ちくま文庫で、『言葉を育てる 米原万里対談集』という本です。
マトリョーシカの描かれた装丁も、とってもプリティ。
でも、中身はとっても辛辣で愛情たっぷりな、米原節が炸裂☆わはは。

林真理子さん、児玉清さん、養老孟司さん、田丸公美子さん、糸井重里さん(他にもいらっしゃいますが!)らとの対談が収められています。
飾りのない言葉なのに…それだからこそか、その言葉は澄んで響きます。
本の帯に書かれていた、「言葉の魔術師・米原万里」という賛辞では、物足りないくらいに。

ああ、もう半分も読んじゃった…。(ゆっくり読もうと思ってたのに…!)

2008

0805
著者のデビュー作だそうです。
出版元を見てわかるとおり、ミステリーであるから…歴史ミステリーということになるんだと思います。
そのものズバリなタイトルが、前から気になっていた作品です。

邪馬台国はどこにあったのか?

とあるバーにたまたま集った歴史家2人と歴史マニア(?)1人。
バーテンダーも含め4人で、毎回毎回、歴史論争が展開する、連作短編集です。

「悟りを開いたのはいつですか?」
「邪馬台国はどこですか?」
「聖徳太子はだれですか?」
「謀叛の動機はなんですか?」
「維新が起きたのはなぜですか?」
「奇跡はどのようになされたのですか?」

おさめられた謎は、以上の6つ。
いずれも、歴史マニアが素っ頓狂な説を主張し、歴史家のうち美人の女性の方が強硬に反論していくんだけど…結局は反駁しきれず、歴史マニアの奇想天外説に落ち着いてしまう…という、展開としては同じものが繰り返されます。

その素っ頓狂説が面白いんだろうけど…私はあまり好みではなかったかなぁ…。
ごめんなさい。
あくまで歴史の論文ではないのだから、それはそういうものなんだろうけど、
既存の説をひっくり返すには、短編という特質もありますけど、どうにも浅く感じてしまうのが否めなくて…。
ライトに読めて、面白いのは面白いんですけどね。
説が素っ頓狂なのは、別にいいんです。
でも、「おおっ!」ともっと驚愕する、アクロバティックな論証が欲しいなぁ、というのが、ぜいたくだけど正直なところ、かなぁ…。
短編でそれを求めちゃ、いけないかな、とも思いますけど。
(意図が違いますよね。作者の方の)

高校生のころ、高橋克彦さんの『竜の柩』を読んで、あまりの衝撃にひっくり返っちゃった…みたいなのを、つい期待しちゃいました…。

2008

0804
最近、通勤のおともに久々に池波さんの『鬼平犯科帳』を読んでいたら、むくむくと鬼平ブームが自分の中で沸き起こりました☆
ゴハンのときとか、つい鬼平のドラマのビデオを見ながら、もぐもぐやっています。

剛と柔とを合わせもった鬼平こと長谷川平蔵さんは、ほんとに、魅力的な人です。
脇を固める同心や密偵チームのみんなも大好き。
密偵の活躍する、いろんなお話の中でも、「密偵たちの宴」は格別です。
小説とドラマでは、ちょっとラストの趣向が違いますし、ドラマでは実際には夫婦になっている、五郎蔵とおまさが夫婦ではありません。
私は小説の方が好きで、おまさが切る最後の啖呵に惚れ惚れしています。
密偵の中で、唯一、もと盗賊の「お頭」として40人からを束ねていた五郎蔵。
密偵たちの信奉を集める五郎蔵のの悪戯心と、それを制そうとする妻のおまさ。
ふたりの関係もすてきです。
遠慮ないおまさの啖呵は、すかっとするし♪

そうそう。
相模の彦十さん(もと無頼者のおじーちゃんで、荒れていた若かりし頃の平蔵のとりまき)が、おまさのことを「まぁちゃん」と呼ぶのが、かわいらしくて大好きなのです。
時代劇で「まぁちゃん」…って、あまりお目にかかれないですよねぇ…。
でも全然、違和感がないんだもの♪
健気でかわいい、おまさファンの私です。

2008

0723
山本さんの筆は、いつも温かみのある人と人とのつながりを鮮やかにやわらかに描き出します。

私はどちらかといえば、史上に名を残した人を登場人物とする小説の方が好みだったので、いわゆる江戸庶民の物語はあまり読んだことがありませんでした。
でも、山本さんの手にかかると、その人たちの素朴で実直な生き方が、すぐ隣に感じられるようで、「もっと、もと読みたいな」と自然に思わせられるのです。

長唄「辰巳八景」に題をとった、連作短編集です。
おさめられた8つの物語は、

永代橋帰帆
永代寺晩鐘
仲町の夜雨
木場の落雁
佃町の晴嵐
洲崎の秋月
やぐら下の夕照
石場の暮雪

1編目の「永代橋帰帆」から、もう「あっ!」と言わされてしまって、さすがの一力節にうなってしまいました。
大洲屋という、ろうそく問屋の4代目が主人公。
大洲屋の起こりから、代々受け継がれていた思いとその連綿とした時が、ある意味、淡々と綴られます。
そのゆるぎない大樹のような安堵を感じさせる商人と、まるで対比するかのように登場するのが、かの赤穂浪士。
両者のからめかたは、秀逸というほかなく、静かな語りととともに、ひたひたとゆるやかに情感が満ちてゆきます。

処断される赤穂浪士の、仕置き場の灯りをおおせつかった大洲屋。
子々孫々まで灯りをともし続ける大洲屋と、一瞬の光芒のように燃え盛って散ってゆく浪士たち。

その是非を論じるのではなく、あくまで強くも弱くもある一個の人間として、死に臨む大石主税(大石内蔵助の嫡男)を見つめています。

8つの物語、それぞれに惹かれるものがありますが、
やっぱり私は「永代橋帰帆」が一番好きです。

それから、この連作には、気持ちの清清しい女の子や、情にもろい男の子がたくさん登場しています。
彼らの目線は、いつもやさしく、あたたかい。
「まっすぐな人」というのは、このような人をいうのだなぁ、と思わされます。

ひとつ、気になっていること。
文庫版の解説を手がけられた縄田一男さんによると、個人的に親交の深い山本さんは、縄田さんご夫妻のなれそめを、この中の一作品のモチーフにされたそう。

一体、どの作品がソレで、実際のなれそめはどんなものだったんだろう…!!

とっても気になるんですけど、答えはわかりません…。


>nyaさん
こんばんは。コメント、ありがとうございます!
やっぱり、浮かれてもいいですよね。
今シーズンは、それくらいの快進撃ですものね♪
これからは、マジックの数字に、一喜一憂してしまいそうです。
このまま、快進撃の続くことを祈って!!
応援しましょう♪

…と思ったら、今期初の対巨人負け越し…。くぅ!
完封負けを喫してしまいました…長いペナントレース、こんなこともありますよね!(と、励ましてみる)
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