2009
明治中盤の日本&ロンドン(事件が起こるのはロンドン♪)が舞台のミステリー。
高橋さんのミステリ作品で、未読だった本を手にとりました~(本棚で眠ってたのを引っ張り出してきました…★)
日本での政府首脳陣(井上馨、伊藤博文、山県有朋たち)を中心とする物語と
日本人村が話題を呼んでいるロンドンでの物語とが
ほぼ交互の章で語られ、それが密接にからんできます。
歴史的な背景を知っていると、何倍も楽しいし、
知らなくても(興味がなくても)純粋なミステリーとして楽しめる作品だと感じました♪
*****以下、物語に触れています*****
とりあえず!
何をおいても、ロンドンにおける登場人物たちがとっても魅力的です。
「うお!」と驚く著名人たちが、そ知らぬ顔で登場してます。
すぐ正体がわかる人物もいれば、あとになって、「そっか!あの人か!」とハタと気づく人物も☆
私が、最後まで正体に気づかなかったのは、「シッケ巡査部長」でした!
あとは大体わかったかな…♪
ロンドンで、日本軍人が殺される事件がおき、
そのポケットから発見された、謎の暗号文。
誰が書き、どう解読するものなのか。
日本政府が日本人村に送り込んだ「スパイ」はいったい誰なのか。
国際社会において日本が生き抜いていくために、井上馨のたくらんだ大きな策略とは、いったい何なのか。
幾重にも張り巡らされた、魅力的な「謎」が、連鎖するように解かれていく、物語の終盤は、
どきどきが止まらなくて、ページをめくるのももどかしくなります。
最近、また会津戦争の本を別に読んだこともあって、
事件の核になる部分では、切なくなってしまいました。
会津は実際に訪れたこともある場所ですし。
白虎隊の終焉の地も、ね。
明治の重鎮たちの密談も、ハラハラしながら見てました。
その密談の会場も、鹿鳴館とか精養軒とか銀座とか、明治の匂いいっぱいのゴージャスな場所。
歴史好きにはたまりません。
井上・伊藤・山県の性格の差も、面白くて。
そして、歴史の見方って面白いなぁ、としみじみ感じさせられます。
もちろん、これはフィクションの物語であって、日本史の論文ではないけれど、
「ひとつの事柄も、視点を変えれば、こんなふうにも見えるんだ」
ということを、とても自然に楽しく感じさせてくれるのです。
ものの見方にとらわれないように。
複数の視点をいつもできるだけ意識するように。
思わず、自分自身にそう確認してしまいます。