2009
高校生の時に、『竜の棺』と『写楽殺人事件』を読んで以来、大好きな作家さんが、高橋克彦氏。
まだ読んでなかった『京伝怪異帖』を読みました。
文庫で上下巻。
タイトルからも明白ですが、主人公は、伝蔵こと山東京伝。
江戸の化政文化を代表する戯作者です。
高校の日本史の授業ではじめて彼に出会ったころ。
私の頭の中で、彼の名前は、「山+東京+伝」と即座に分解されました。
「山東京伝」という字を見せられたら、すぐ真ん中の「東京」が浮かび上がってきません?
私だけかなぁ…?
いまだに、その分解が頭から離れません。わはは。
そして、授業で習ったことのせいか、寛政の改革の流れの中で、蔦屋重三郎とともに処罰され、手鎖50日を受けたという印象が強ーーい御仁です。彼の書いた作品よりも。
もとい。
『京伝怪異帖』は、その京伝と仲間たち、京伝の師匠筋として登場する平賀源内らが遭遇する怪異譚をまとめた、短編連作集です。
田沼意次政権の晩年から老中・松平定信の全盛期にかけて。
政治の主導者との複雑な力関係も、作品のあちこちで、ぴりっとした味付けに使われていて、趣き深いです。
「怪異」がたくさん出てきますが、グロテスクな印象はあまり受けませんでした。
それは、カラリとした京伝の人物造形に負うところが大きいのかな。
読後感のさっぱりした作品集です。
なにより、言わずと知れた本草学者のキテレツ平賀源内をはじめ、浮世絵師の窪俊満、版元・蔦屋重三郎、若き日の鶴屋南北、といった江戸後期のそうそうたる文化人たちの共演。
これにうっとりしないはずがありません。
会話の中だけだけど、北斎や歌麿もちらほら登場。
嬉しくて、思わずニタリとしてしまいます。
中でも、面白かったのが、寛政の風紀の取り締まりが強まる中、源内が、町方に睨まれない工夫というので、蔦屋に入れ知恵したこと。
その入れ知恵とは、役者の大首絵を手がけること。それも、看板役者から下っ端役者まで、すべて。
人気が第一の役者たち。
自分たちで大量買いに走るのは目に見えているという趣向です。
なぁるほど!
で、これを蔦屋は歌麿に持ちかけたけど、断られたと…『京伝怪異帖」の中では、ここまでのことが、蔦屋の口で京伝に語られます。
これ以上のことは作品の中に出てこないんですけどね。
のち、この蔦屋から出されることになる役者の大首絵は、東洲斎写楽の作品。
これ、言うまでもなく、「写楽=歌麿」説をいってるんですよね。うぷぷ。
その入れ知恵が源内ってのも、また面白い。
私、このシーンだけで、おお喜びしてしまいました☆
高橋氏の浮世絵シリーズ作品のファンは、ここだけで、ついニンマリしてしまいますね。
まだ読んでなかった『京伝怪異帖』を読みました。
文庫で上下巻。
タイトルからも明白ですが、主人公は、伝蔵こと山東京伝。
江戸の化政文化を代表する戯作者です。
高校の日本史の授業ではじめて彼に出会ったころ。
私の頭の中で、彼の名前は、「山+東京+伝」と即座に分解されました。
「山東京伝」という字を見せられたら、すぐ真ん中の「東京」が浮かび上がってきません?
私だけかなぁ…?
いまだに、その分解が頭から離れません。わはは。
そして、授業で習ったことのせいか、寛政の改革の流れの中で、蔦屋重三郎とともに処罰され、手鎖50日を受けたという印象が強ーーい御仁です。彼の書いた作品よりも。
もとい。
『京伝怪異帖』は、その京伝と仲間たち、京伝の師匠筋として登場する平賀源内らが遭遇する怪異譚をまとめた、短編連作集です。
田沼意次政権の晩年から老中・松平定信の全盛期にかけて。
政治の主導者との複雑な力関係も、作品のあちこちで、ぴりっとした味付けに使われていて、趣き深いです。
「怪異」がたくさん出てきますが、グロテスクな印象はあまり受けませんでした。
それは、カラリとした京伝の人物造形に負うところが大きいのかな。
読後感のさっぱりした作品集です。
なにより、言わずと知れた本草学者のキテレツ平賀源内をはじめ、浮世絵師の窪俊満、版元・蔦屋重三郎、若き日の鶴屋南北、といった江戸後期のそうそうたる文化人たちの共演。
これにうっとりしないはずがありません。
会話の中だけだけど、北斎や歌麿もちらほら登場。
嬉しくて、思わずニタリとしてしまいます。
中でも、面白かったのが、寛政の風紀の取り締まりが強まる中、源内が、町方に睨まれない工夫というので、蔦屋に入れ知恵したこと。
その入れ知恵とは、役者の大首絵を手がけること。それも、看板役者から下っ端役者まで、すべて。
人気が第一の役者たち。
自分たちで大量買いに走るのは目に見えているという趣向です。
なぁるほど!
で、これを蔦屋は歌麿に持ちかけたけど、断られたと…『京伝怪異帖」の中では、ここまでのことが、蔦屋の口で京伝に語られます。
これ以上のことは作品の中に出てこないんですけどね。
のち、この蔦屋から出されることになる役者の大首絵は、東洲斎写楽の作品。
これ、言うまでもなく、「写楽=歌麿」説をいってるんですよね。うぷぷ。
その入れ知恵が源内ってのも、また面白い。
私、このシーンだけで、おお喜びしてしまいました☆
高橋氏の浮世絵シリーズ作品のファンは、ここだけで、ついニンマリしてしまいますね。
PR
Post your Comment