2009
その第二弾、『ナイチンゲールの沈黙』です。
この海堂さんという作者さんのタイトルは、なんだか一度見て、心にひっかかって、気になる存在になります。
『チーム・バチスタの栄光』を本屋さんで初めてみたときも、
私は、なんでか勝手に、バチスタっていう名前のサッカーチームの栄光と挫折の青春ストーリー…だと思ってました。
なんで、そんな変な思い込みになったんだろ…。
自分でも不思議です。
その後、『チーム・バチスタの栄光』をちゃんと読んで、「おもしろい~」とスイスイ読んでしまったのですが。
というわけで、第二弾。
バチスタスキャンダルから9ケ月。
舞台は、同じく東城大学医学部付属病院、の小児科病棟。
ふたりの歌姫を軸に、ストーリーが進んでいきます。
タイトルのナイチンゲールは、それゆえ。
『チーム・バチスタの栄光』での主役コンビ、田口先生&白鳥調査官も健在です。
プラス、今回は刑事コンビ、加納&玉村も登場。
いつもながら、多彩なキャラクターがこれでもかこれでもか、というくらいの頻度で登場します。
「個性的」という言葉が裸足で逃げ出すくらい、みんな、個性的。
でも…なんですかね。
『チーム・バチスタの栄光』で、はじめにどーんっと魅力的な謎が提示されて、
めまぐるしく謎解きが進んでいく、というスピーディな展開を思い返すと、
今回は、まったりのったり話が進んでいく、という感じが強いです。
殺人は1件のみ。
で、物語の中盤で、やっとこさ、その事件が出てきます。
殺人の件数がどうこうというのではないですし、殺人そのものが物語りの初めになくたって、別にいいんです。
でも、やっぱり物語の引っ張って行く、なにかしらの力はいると思うんですが、
それが弱いような気がしてならなくて…。
正直、読み終わった今でも、ちょっと物足りないかしら…。
各所での表現がちょっと大仰すぎる気もして、文体は…うーん、あまり好みでないかもしれないかなぁ、やっぱり。
(この「好みでないかなぁ」という感覚は、『バチスタ』の時もあったのですが、
それを吹っ飛ばすくらいのパワーが物語にあったような…)
もちろん、これは、あくまで、個人の好みの問題ですけども。
それにしても、本屋で、どんっと平台に積み上げられている、海堂氏の諸作。
とっても人気があるんですねぇ…。
2009
古本屋さんで、ひょいと手にとりました。
1982年に書かれた長編です。
***以下、写楽の正体を含め、作品の内容に触れています。
タイトルを見ると、「おっ、東洲斎写楽が主役か!」と思いましたが、主人公は写楽の作品を出版した、版元の蔦屋重三郎。
それも、青春時代の青臭い重三郎から、壮年期の酸いも甘いもかみ分けた重三郎まで。
人間「蔦屋重三郎」の成長ももちろんですが、
版元「蔦屋」の出発点から、成功していく過程を楽しめるのも、大変興味深いです。
寛政期の文学者たちが大勢登場します。
高橋克彦氏の『京伝怪異帖」にも登場した、平賀源内、山東京伝をはじめ、恋川春町、朋誠堂喜三二、大田南畝など、惜しげもなく、重要な役どころでの出演です。
一流の文化人ですが、それぞれやたらと人間くさいところが魅力です。
長い期間を作中で扱うので、各個人の人生の紆余曲折も、心を打たれます。
蔦屋によって育てられたといってよい、歌麿も、その人間の弱さとともに、
あますところなく描かれます。
朴訥とした歌麿が、最後は重三郎を裏切るところまで行き着くのが、
なんともいえず、切なく苦いです。
そして、蔦重を扱えば、気になるのが、写楽の正体ですが。
冒頭にちょいと出てきて、重三郎の一生に大きな影を追わせた、実父の失踪。
「きっとこれが何か関係するんだなぁ」
と思ってはいましたが、このお父さんその人が写楽でした…わわ、びっくり!!
その父と二人三脚で、江戸の社会を席巻した、写楽の役者絵。
でも、その幸福も短く、写楽の死で、幕を閉じるのでした。
(写楽の作画期間が短いのは、写楽本人の死のため、というもの)
重三郎は、出版の世界では、華々しく活躍をしましたが、
おしの(彼が唯一、心底愛した女性。添い遂げられぬままに自害して果てました)のことにしろ、
父のことにしろ、
彼の愛した人々との幸いは、ほんとにほんとに短かったことが、
読後の哀惜を深めます。
2009
最初のスペシャル版は面白かったけど、なんだか段々面白くなくなってるような気が…!!
仕事人が4人もいて、みんな1人で「仕事」をするから、毎回悪者がちゃんと4人必要ってのが、話を詰まんなくしている原因ではないかしら…。
仕事人も4人、悪者も4人となると、1人1人を深く描くことなんてできないから、そりゃあまぁ、薄っぺらいこと。
もっと誰かに焦点を絞ってもいいと思うんだけどなぁ…。
しかも、ここのとこ、いつも頼み人が、仕事人そのひと。
それって、「はらせぬ恨み、かわってはらす」んじゃなくて、仕事人の私怨にならないのかなぁ~。
(頼み人になるはずの人が、すでに殺されちゃってて、その人と仕事人が深い関係にあるから、「仕事人が代理で頼み人になる」って形になっちゃうんだけども)
それはともかく。
毎回、けっこう豪華なゲストが出てきます。
(で、そのゲストはその回で非業の死を遂げるわけですけども! ←ああ、わかりやすい…)
前回のゲストは、「おおっ!お懐かしや。お館さま~!」な市川亀治郎さんでした♪
一昨年の大河「風林火山」で武田信玄を演じてらした亀治郎さん。
(「風林火山」は、真田幸隆公がたくさん出ていて、大好きでした!)
仕事人では、若い熱血同心の役でございました。
アヘンの取引を探っていて、深入りしすぎて、返り討ちにあっちゃうという、なかなか最後は情けない展開なのですけど。
…わわ。同心姿を見ても、つい信玄を思い出してしまって…!!
(同心姿もカッコよかったですけど!)
はまり役を演じると、そこから抜け出るのが、大変ですよねぇ…役者さんて。
2009
まだ読んでなかった『京伝怪異帖』を読みました。
文庫で上下巻。
タイトルからも明白ですが、主人公は、伝蔵こと山東京伝。
江戸の化政文化を代表する戯作者です。
高校の日本史の授業ではじめて彼に出会ったころ。
私の頭の中で、彼の名前は、「山+東京+伝」と即座に分解されました。
「山東京伝」という字を見せられたら、すぐ真ん中の「東京」が浮かび上がってきません?
私だけかなぁ…?
いまだに、その分解が頭から離れません。わはは。
そして、授業で習ったことのせいか、寛政の改革の流れの中で、蔦屋重三郎とともに処罰され、手鎖50日を受けたという印象が強ーーい御仁です。彼の書いた作品よりも。
もとい。
『京伝怪異帖』は、その京伝と仲間たち、京伝の師匠筋として登場する平賀源内らが遭遇する怪異譚をまとめた、短編連作集です。
田沼意次政権の晩年から老中・松平定信の全盛期にかけて。
政治の主導者との複雑な力関係も、作品のあちこちで、ぴりっとした味付けに使われていて、趣き深いです。
「怪異」がたくさん出てきますが、グロテスクな印象はあまり受けませんでした。
それは、カラリとした京伝の人物造形に負うところが大きいのかな。
読後感のさっぱりした作品集です。
なにより、言わずと知れた本草学者のキテレツ平賀源内をはじめ、浮世絵師の窪俊満、版元・蔦屋重三郎、若き日の鶴屋南北、といった江戸後期のそうそうたる文化人たちの共演。
これにうっとりしないはずがありません。
会話の中だけだけど、北斎や歌麿もちらほら登場。
嬉しくて、思わずニタリとしてしまいます。
中でも、面白かったのが、寛政の風紀の取り締まりが強まる中、源内が、町方に睨まれない工夫というので、蔦屋に入れ知恵したこと。
その入れ知恵とは、役者の大首絵を手がけること。それも、看板役者から下っ端役者まで、すべて。
人気が第一の役者たち。
自分たちで大量買いに走るのは目に見えているという趣向です。
なぁるほど!
で、これを蔦屋は歌麿に持ちかけたけど、断られたと…『京伝怪異帖」の中では、ここまでのことが、蔦屋の口で京伝に語られます。
これ以上のことは作品の中に出てこないんですけどね。
のち、この蔦屋から出されることになる役者の大首絵は、東洲斎写楽の作品。
これ、言うまでもなく、「写楽=歌麿」説をいってるんですよね。うぷぷ。
その入れ知恵が源内ってのも、また面白い。
私、このシーンだけで、おお喜びしてしまいました☆
高橋氏の浮世絵シリーズ作品のファンは、ここだけで、ついニンマリしてしまいますね。
2009
爽やかな幸村がたっぷりの回でございます。
幸村と佐平次。
佐平次と又五郎。
昌幸と滝川一益。
今後の物語の核になる、ファーストコンタクトもいっぱいです。
本能寺の変が出てくる回ですが、結局、信長は1シーンも出てこないんですよね。
そっちの方が、より想像をかきたてられます☆
2009
夕飯のお買い物にいった大型スーパーでのこと。
バレンタインチョコの特設売り場。
その傍を通りかかったときに、ふと目についたおチビちゃん。
なにやらニコニコと笑顔を振りまきながら、トコトコとおぼつかない足取りで、ひとりであっちこっちを歩き回っている男の子。
別に悪戯してるわけじゃないし、近くでお母さんが見てるのかなぁ…なんて思いつつ、一度は通り過ぎたんですけど。
なにやら心配になって、引き返してしまいました。
おチビちゃんは、相変わらず、愛嬌をふりまき、フラフラフラ。
彼に「お母さんとはぐれちゃった」的な不安は微塵も感じないのですが、どうみても、近くにお母さんらしき人、保護者らしき人は見当たりません。
ここでおチビちゃんに親しげに話しかけたら、怪しい人かな~~とビクビクしながら、
ちょっと声をかけてみました。
「ねぇ、ひとり?ママは?パパは?一緒にいないの?」
そうしたら、嬉しそうにチビちゃんは私を手招き。
「あら、やっぱり親と一緒なのかしらん」と思って、彼の招く方をみれば、そこには色とりどりのチョコレート。
どうやら、チビちゃんでもれっきとした男の子!
チョコレートが欲しいらしいです。
ではなく!
鮮やかなチョコレートや特設コーナーのデコレーションの数々(風船とか風船とか風船とか)が気になって仕方ない様子。
しきりに私の手をひいて風船のところに連れていこうとしてくれます。
(これは、やっぱり迷子!?)
と思いつつ、再度、「ねぇ、ママは?誰かと一緒にきたんじゃないの?」と尋ねるも、彼は変わらずニコーッと笑うのみ。
ああっ、かわいい!
この子、こんなに愛想良くて、人見知りしなくて、笑顔いっぱいでいたら、攫われちゃうよ!!
と本気で心配しましたとも…。
これはほっといたら、いつまでもチョコレート売り場でウロウロしてそう、と思った私。
チビちゃんを抱き上げて、一緒にスーパーのインフォメーションコーナーにでも行こうかとしたところ!!
「こんなところにいたの!!」
と焦った声をあげながら、向こうから駆けてくる、お母さんらしき女性。
わっ…私、誘拐犯じゃないからね!
抱き上げて攫おうとしたわけじゃないからね!
と、不審者のようにオロオロ、ドギマギしてしまう私。
「すみませんっ、ちょっと目を離したらいなくなって…!」
チビちゃんを抱っこして、しきりに私にいうお母さん。
…よ、よかった。
疑われなくて…!!
ちゃんとママに会えてよかったねぇ~。
でも、君の将来が、ちょっと心配です…。
あの天真爛漫な笑顔。
女の子を誤解させるには十分な魅力でしたとも…!
2009
いつもの恒例行事(?)、巻き寿司の丸かじり♪
もう最近は自分で作る気力はなく、いつもスーパーで買ってきちゃいますけど。
今年は穴子の巻き寿司にしてみました!
恵方を向いて、無言でもぎゅもぎゅ。
んっまい!!
ついでに、鰯の塩焼きも♪
んっまい!!
残念ながら、節分豆は完売していて、買えなかったので、豆は食べてないんですけどね。
福は内~!
そうして、節分が過ぎたら、明日は立春。
ハ~ルよ、来い♪
2009
2009年も1ヶ月たったせいで、2009年のカレンダーが、半額に値下がりしてました☆
カレンダーは、いつも仕事でお付き合いある会社のやプレゼントしたもらったものを使っていて、
自分でちゃんと買ったことなんて、ここのとこずーっとなかったのですが。
半額と聞くと、ついムクムクと「これ、かわいいなぁ」という気持ちがわくものです♪
思わず、いろいろと物色。
見つけたのは、葉祥明さんのイラストのキュートな卓上カレンダー。
鎌倉で葉祥明さんのミュージアムに行ったっけ。
周囲の空気もふくめ、とっても雰囲気たっぷりで、すてきなミュージアムでした。
懐かしいなぁ…。
そこで、白い犬(某携帯CMのお父さんではありません♪)のミニぬいぐるみに一目惚れして、
我が家に連れ帰ってきてしまいました。
今、カレンダーの隣には、その白いワンコ(ジェイク)が鎮座しています。
ああ、癒される~。
2009
はやいなぁ…。
今日から2月です。
1日は映画デー。
1000円で映画が観れる日。
というわけで、昨日から公開された「マンマ・ミーア」を観ようかな~と、珍しく映画館へ行ってきました。
舞台の映画化は、
「ウェストサイド・ストーリー」(あれ?これって映画が先…?)とか
「オペラ座の怪人」とか
「RENT」とか。
いろいろ、大好きなのがあります。
「マンマ・ミーア」は、お話はそんなに好きというわけじゃないけど、ともかくもアバのナンバーが大好き♪
アバの曲を大スクリーンで聴きたいなぁ、というので映画館に行ったわけですが。
あら…チケット売り場に並んでたら、私の5人くらい前で、本日のチケットが完売しました…。
ついてない。
映画デーで、かつ日曜日だし、しょうがないかぁ…。
いまいち運のない、2月の始まりでした☆
仕方ないので、家で、「マンマ・ミーア」のCDをじゃかすか聞いております…♪
2009
日々「変」わり映えがしないと、書くことがなくて、漢字シリーズに走ってしまいます。
というわけで、気になる漢字その2は「変」。
毎年、年末に清水寺で発表される今年の漢字。2008年を表す漢字が「変」でしたね。
異変、政変、激変、変節、変乱…エトセトラ。
思いあたることは、あれもこれも。
オバマさんも「Change」ってアピールしてるし。
なにかと「変」なことの多いご時世でもあります☆
というわけで「変」です。
この漢字の何が気になるって、部首です、部首。
私、「変」の部首って、ずっと「なべぶた」だと思ってたんですよね(変の一番上の部分)。
だって「変」の上半分の「亦」という漢字の部首は、「なべぶた」なんですよ?
だったら、「変」もそうだろうって。
違うんですね…。
「変」の部首は、漢字の下半分のところ。
「すいにょう」っていうんですって。
同じ部首のお仲間は、「夏」。
はぁ…なるほど。
って思いますけど、漢和辞典見ても、「すいにょう」の部に上がってる漢字は、「変」と「夏」を含めても、たったの5つ。
少ない…!
「すいにょう」ってマイナーな子だったんだなぁ…ちょっと不憫。
そもそも、常用漢字の「変」は俗字によるものだそうで、
本来は、もっと難しい字。
その漢字を見て、「おおっ、その字には見覚えがあるぞ!」と懐かしくなってしまいました。
その昔、中学生だった私。
社会科の授業で一生懸命、難しい漢字を覚えましたとも。
鎌倉新仏教、一向宗(浄土真宗)の開祖、親鸞上人!
中学生泣かせの「鸞」の字。
「言葉を糸でサンドイッチして、鳥が飛ぶ(なんのこっちゃ)」なんて言って覚えてました。
「変」の本来の字(旧字体)は、その「鸞」の「鳥」の部分を「すいにょう」にかえたものだそうです。
漢字のなりたちとしては、会意文字。
「連続するものを断ち切って、かえる」という意味になるとか。
2009年。
悪い流れを断ち切って、少しでも良い方向に変わりますように!
といっても、どちらを「良い方向」と考えるのか。
それは、国や立場が変われば、これまた「変わる」ものなので、だから難しいんですよねぇ…。