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2008

1214
学生のころに知った、劇団そとばこまちの作品「冬の絵空」の上演を観てきました(今回は、そとばこまちとしての上演ではないですが)。

大好きな作品なので、思いいれもひとしお。
そとばこまちの劇団員であった生瀬勝久さんが、出演されるということで、とってもとっても期待してました。

うふふ。
期待は大当たり。
休憩はさんで、約2時間半の舞台でしたが、あっという間に作品の世界に引き込まれました。


↓↓ 以下、ネタばれです…!ご注意を!!

「冬の絵空」は、元禄時代を舞台にした作品。
12月の日本のお約束、赤穂浪士の討ち入り話を下敷きにしています。
でも、その解釈は、奇想天外。
世の人々が英雄視する「大石内蔵助」は、天野屋という一商人のたくらみによって仕掛けられた「芝居」であり、
実は、沢村宗十郎という役者であった…とかとか。
虚と実がいりみだれ、人が「自分とは真実、何者であるのか」「おのれがおのれであると、どのように証をたてていくのか」問い続ける物語です。

天野屋の娘・お軽との結婚を許してもらうため、「大石内蔵助」を演じることを受け入れざるを得なかった、役者・沢村宗十郎。
この役を、藤木直人さんが、華麗に演じてました。
はじめて、生の舞台で彼を見ましたが、きれいな人ですねぇ…。
欲をいえば、歌舞伎の見得を切るとこは、もちょっと迫力が欲しかったなぁ、というのと、
後半、討ち入りに行った宗十郎が、おのれの証をたてるためには「こうすりゃいいんですかい」と血を吐くように吐露しながら、吉良邸の武士を斬っていくところで、おさえ気味の演技だったのがもったいなかったかなぁ、と…(ここは、宗十郎の本音を前面に出していいんでないのかしら…)。

生瀬さんの天野屋はさすが。
存在が際立っているのに、それが、舞台の世界の邪魔にはならない。
彼が出てくると、すいっと視線がそっちを向いてしまいます。
この作品の中で一番謎なのは、天野屋の心底ですけども…。

ああ、もう一回観たいなぁ…。

芝居の最後、大道具として、満開の桜が出てくるのですが、照明によって、みえ方が変わるのです。
ある場面では桃色の美しい花盛りの桜に。
ある場面では、蒼白とも見える、真っ白で冷酷な桜に。
桜の下に立つ登場人物の心情を写し取った桜が、見事でした。
そういう演出って、けれんがあって好きじゃない人もいると思いますが、今回については、私はとってもしっくりと心に残りました。
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