2009
「椿姫」を下敷きに作られた、新作ミュージカル「マルグリット」。
「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」を作ったコンビの新作と聞けば、どきどきわくわく。
舞台は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のパリ。
歌姫・マルグリットには、宝塚を退団して、初の舞台となる、春野寿美礼さん。
マルグリットを囲っている、ドイツ人将校・オットーに、寺脇康文さん。
マルグリットに恋焦がれる青年アルマンに、田代万里生さん。
というメインキャスト。
(たはは…知っているのは、寺脇さんだけでした。それも、TVドラマ・映画の中での寺脇さんのみ…主役3人の舞台は、それぞれ初めて観ました)
****以下、舞台のネタバレを含みます!!****
開演前。どでかいホールの、どでかい緞帳に、どでかいマルグリットの顔。
大きな瞳がじーっと客席に注がれます。
それも静止画ではなく、時折ゆーっくりまばたきするという…ひょえ!こ、怖い…。
ホールに入って、緞帳見た瞬間、びっくりして、立ち止まってしまいました。
しかも私が見た瞬間に、バチっとまばたきされまして…!
なにも心つもりがなかったから、お、驚いた…!!
芝居を観て納得しましたが、あれ、鏡に向かっているマルグリットなんですね。
印象的なシーンで、マルグリットが鏡に向かいながら、切々と心情を歌い上げるシーンがありましたし、
舞台美術や照明も、鏡を思わせるような反射が多用されてました。
それにしたって、あの緞帳、インパクトありすぎる…!!(夢に出てきそう~)
物語は、ホールの大きさにすると、どちらかというと少人数のキャストで進みます。
あんまり派手なシーンもないし、堅実に、ひとつひとつのシーンを丁寧に積み重ねていく、という印象の演出でした。
マルグリットとオットー、アルマンの愛情のもつれ。
レジスタンスの活動をしているアルマンの姉・アネットとその恋人(ユダヤ人)のルシアン、ふたりの友人のピエロを中心とする、政治がらみの動向。
このふたつの物語が主軸となり、からみあってゆきます。
ミュージカルにはお馴染みのアンサンブル(群集)の役者さんたちは、主にマルグリットの取り巻きとして登場します。フランス人なのに、マルグリットにたかってドイツ人将校に便宜をはかってもらおうとする人々。そして、パリがドイツ軍から解放されたのちには、マルグリットにリンチを加える、実にわかりやすい群集。
全体的に、なんとなく想像していたのよりも、しっとりと落ち着いた芝居でした。
いい意味でいうと、ケレンのない(見た目の派手さでごまかしたりしない)、じっくりと人間を表現しようとした硬質の舞台。
悪い意味でいうと、あまり強い印象の残らない、「もう一度観たい!」という、いてもたってもいられないような衝動の起こらない舞台。
歌も、はじめて聴いたせいもあるかもしれないけど、終演後に何度もくちずさんでしまうような状況には、私はなりませんでした。
きれいな曲ばかりだし、いいと思うんですけど、なにが足りないのかなぁ…。
強烈なインパクト、というのは、確かにないかも。
観た人の評価がかなり極端に分かれているようですが、それがよくわかるような…。
ウェストエンドでは、ロングランにならず、なかば打ち切りのような形だったともどこかで聞いたけど、ほんとかな?
私の好みとしては、もう少し長くなってもいいので、後半の展開をもうちょっとじっくり人間を描きこんで観たかったな、というのと、ホールが大きすぎる!ということ。
ウェストエンドでは、どのくらいの箱でやったのかしら…。
キャパ800くらいの箱で、見たいなぁ…って、舞台装置が入らないか!そんな小屋じゃ!!
舞台美術と照明は、とってもとってもステキでした。
特に照明は素晴らしかったです。
照明の専門的なことはわからないけれど、でしゃばることなく、でもしっかりと存在感を示し、その明かりが登場人物の心情やそのシーンを象徴しているんだなぁと感じられるところが、数え切れないほどありました。
びっくり緞帳も含めて、ひとつの世界を作り上げている完成度の高さに感動!
ウェストエンドのをそのまま持ってきたそうですが…うーん、すごい。
舞台上で、板が回転して、次々と机や椅子などの道具が登場したり去ったり…そのぐるぐる装置転換が、ちょっと多すぎて、思わず笑ってしまいそうになったけど(このぐるぐるは、私は個人的に好きではないのです。ちゃちなカラクリ見せられてるようで…やっちゃいけないとは思わないけど、舞台としての面白みは半減じゃないかなぁ…)。
役者さんはね。
もと宝塚の男役トップだった女優さんと、声楽家の青年と、TVドラマやストレートプレイの舞台出身の男優さん(もちろん歌を専門的にはやってらっしゃらない)。
メインの3人の役者さんの、歌や芝居の質のバラバラさ加減が、いいのか悪いのか…。
それぞれ魅力的な役者さんなんですけど、「ひとつの舞台の調和」という点では、どうなのかなぁ…。
これも好みが分かれるところですよね。
私は、ちょっとイマイチだったかも…。ひとりひとりのシーンでは気にならない部分が、ふたりや三人のシーンになると…あちゃ!
その点、アンサンブルの皆さんは、「調和」が命のパートなだけに、ほんとに皆さん達者で♪
大好きでした。
新作ミュージカルが観れたのは、とっても楽しかったです。
硬派な芝居で、作り手のみなさんの真摯さが伝わってきました。
公演を重ねると、またいろいろと変わっていくのかな。
「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」を作ったコンビの新作と聞けば、どきどきわくわく。
舞台は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のパリ。
歌姫・マルグリットには、宝塚を退団して、初の舞台となる、春野寿美礼さん。
マルグリットを囲っている、ドイツ人将校・オットーに、寺脇康文さん。
マルグリットに恋焦がれる青年アルマンに、田代万里生さん。
というメインキャスト。
(たはは…知っているのは、寺脇さんだけでした。それも、TVドラマ・映画の中での寺脇さんのみ…主役3人の舞台は、それぞれ初めて観ました)
****以下、舞台のネタバレを含みます!!****
開演前。どでかいホールの、どでかい緞帳に、どでかいマルグリットの顔。
大きな瞳がじーっと客席に注がれます。
それも静止画ではなく、時折ゆーっくりまばたきするという…ひょえ!こ、怖い…。
ホールに入って、緞帳見た瞬間、びっくりして、立ち止まってしまいました。
しかも私が見た瞬間に、バチっとまばたきされまして…!
なにも心つもりがなかったから、お、驚いた…!!
芝居を観て納得しましたが、あれ、鏡に向かっているマルグリットなんですね。
印象的なシーンで、マルグリットが鏡に向かいながら、切々と心情を歌い上げるシーンがありましたし、
舞台美術や照明も、鏡を思わせるような反射が多用されてました。
それにしたって、あの緞帳、インパクトありすぎる…!!(夢に出てきそう~)
物語は、ホールの大きさにすると、どちらかというと少人数のキャストで進みます。
あんまり派手なシーンもないし、堅実に、ひとつひとつのシーンを丁寧に積み重ねていく、という印象の演出でした。
マルグリットとオットー、アルマンの愛情のもつれ。
レジスタンスの活動をしているアルマンの姉・アネットとその恋人(ユダヤ人)のルシアン、ふたりの友人のピエロを中心とする、政治がらみの動向。
このふたつの物語が主軸となり、からみあってゆきます。
ミュージカルにはお馴染みのアンサンブル(群集)の役者さんたちは、主にマルグリットの取り巻きとして登場します。フランス人なのに、マルグリットにたかってドイツ人将校に便宜をはかってもらおうとする人々。そして、パリがドイツ軍から解放されたのちには、マルグリットにリンチを加える、実にわかりやすい群集。
全体的に、なんとなく想像していたのよりも、しっとりと落ち着いた芝居でした。
いい意味でいうと、ケレンのない(見た目の派手さでごまかしたりしない)、じっくりと人間を表現しようとした硬質の舞台。
悪い意味でいうと、あまり強い印象の残らない、「もう一度観たい!」という、いてもたってもいられないような衝動の起こらない舞台。
歌も、はじめて聴いたせいもあるかもしれないけど、終演後に何度もくちずさんでしまうような状況には、私はなりませんでした。
きれいな曲ばかりだし、いいと思うんですけど、なにが足りないのかなぁ…。
強烈なインパクト、というのは、確かにないかも。
観た人の評価がかなり極端に分かれているようですが、それがよくわかるような…。
ウェストエンドでは、ロングランにならず、なかば打ち切りのような形だったともどこかで聞いたけど、ほんとかな?
私の好みとしては、もう少し長くなってもいいので、後半の展開をもうちょっとじっくり人間を描きこんで観たかったな、というのと、ホールが大きすぎる!ということ。
ウェストエンドでは、どのくらいの箱でやったのかしら…。
キャパ800くらいの箱で、見たいなぁ…って、舞台装置が入らないか!そんな小屋じゃ!!
舞台美術と照明は、とってもとってもステキでした。
特に照明は素晴らしかったです。
照明の専門的なことはわからないけれど、でしゃばることなく、でもしっかりと存在感を示し、その明かりが登場人物の心情やそのシーンを象徴しているんだなぁと感じられるところが、数え切れないほどありました。
びっくり緞帳も含めて、ひとつの世界を作り上げている完成度の高さに感動!
ウェストエンドのをそのまま持ってきたそうですが…うーん、すごい。
舞台上で、板が回転して、次々と机や椅子などの道具が登場したり去ったり…そのぐるぐる装置転換が、ちょっと多すぎて、思わず笑ってしまいそうになったけど(このぐるぐるは、私は個人的に好きではないのです。ちゃちなカラクリ見せられてるようで…やっちゃいけないとは思わないけど、舞台としての面白みは半減じゃないかなぁ…)。
役者さんはね。
もと宝塚の男役トップだった女優さんと、声楽家の青年と、TVドラマやストレートプレイの舞台出身の男優さん(もちろん歌を専門的にはやってらっしゃらない)。
メインの3人の役者さんの、歌や芝居の質のバラバラさ加減が、いいのか悪いのか…。
それぞれ魅力的な役者さんなんですけど、「ひとつの舞台の調和」という点では、どうなのかなぁ…。
これも好みが分かれるところですよね。
私は、ちょっとイマイチだったかも…。ひとりひとりのシーンでは気にならない部分が、ふたりや三人のシーンになると…あちゃ!
その点、アンサンブルの皆さんは、「調和」が命のパートなだけに、ほんとに皆さん達者で♪
大好きでした。
新作ミュージカルが観れたのは、とっても楽しかったです。
硬派な芝居で、作り手のみなさんの真摯さが伝わってきました。
公演を重ねると、またいろいろと変わっていくのかな。
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